ろ》でなければね。僕の[#「僕の」に傍点]いままで見たもののなかでは、なによりもその髑髏に似ているよ」
「髑髏だって!」とルグランは鸚鵡返《おうむがえ》しに言った。――「うん、――そうだ、いかにも紙に描《か》いたところでは幾分そんな格好をしてるな、たしかに。上の方の二つの黒い点は、眼《め》のように見えるし、え、そうだろう? それから下にある長いのは口に見えるし、――それに、全体の形が楕円形《だえんけい》だからね」
「たぶんそうだろう」と私は言った。「しかしだね、ルグラン、君は絵が上手じゃないねえ。とにかく、その虫の本物を見るまで待たなくちゃならん、どんなご面相をしているのか知ろうと思ったらね」
「そうかなあ」彼は少しむっとして言った。「僕はかなり描けるんだがね、――少なくとも描けなくちゃならん[#「なくちゃならん」に傍点]のだ、――いい先生に教わったんだし、自分じゃあそうひどい愚物でもないつもりなんだから」
「しかし、君、それじゃあ君は茶化しているんだよ」と私は言った。「こりゃあ、ちゃんとした普通の頭蓋骨[#「頭蓋骨」に傍点]だ。――実際、生理学上のこの部分に関する一般の考えにしたがえ
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