]とかしづや[#「しづや」に傍線](やか)とかいふ語が多く用ゐられたから、そこではじめてしづ[#「しづ」に傍線]といふ語に静といふ意が生じたのであらう。
つけていふが、賤男、賤の家などのしづ[#「しづ」に傍線]もこの下といふ意味から生れたものではなからうか。かく[#「かく」に傍点]は今はないけれど、古い動詞の一つにちがひない。かき(垣)といふ語が今もなほ連用名詞法の俤を存してゐる。祝詞によくでる「あめのかきたつかぎり」のかき[#「かき」に傍線]には壁の字があてゝあるが、このかき[#「かき」に傍線]は垣といふ名詞ではなくてかきだつ[#「かきだつ」に傍線]とでも今ならばよむべき連用副詞法なのであらう。蜘蛛のいがきとか鳥巣をかくとかいふのは、懸けるのではなくてかまへる[#「かまへる」に傍点]とでも訳すべきで外と境をたてる意がある。
かくす[#「かくす」に傍線]、かくむ[#「かくむ」に傍線]、かこふ[#「かこふ」に傍線]、かくる[#「かくる」に傍線]は、このかく[#「かく」に傍線]といふ体言的の語があつて後に出来た語である事はいなまれぬ。
かづら・ぐ[#「かづら・ぐ」に傍線]といふ語について
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