五)[#「(五)」は縦中横] かこ・ふ[#「かこ・ふ」に傍線]とかしづ・る[#「しづ・る」に傍線]とかいふ語がかく[#「かく」に傍線]とかしづ[#「しづ」に傍線]とかいふ語より以前にあつたこと、または偶然にかく[#「かく」に傍線]とか、しづ[#「しづ」に傍線]とかいふ語を無関係な数種の語の中に没交渉的にふくんでをつたのであるといふ証明を欲する。
[#ここで字下げ終わり]
以上おぼろげながら名詞語根説について述べたつもりである。進んで用言の五段について名詞法を考へて見たいと思ふ。先づ将然言からいふと、
   ■将然名詞法
この段から名詞の出来ることは亀田先生が先日大学で講演せられた。先生の考では、おや[#「おや」に傍線]は老ゆ[#「老ゆ」に傍線]の将然名詞法で、綯ふ、鳴るの将然言がなは[#「なは」に傍線]、なら[#「なら」に傍線](屁)となつたのであらうとのことである。この考を借用して敷衍すると、つる[#「つる」に傍線]の名詞法がつら[#「つら」に傍線](列)、つれ[#「つれ」に傍線](連)で、さゆ[#「さゆ」に傍線]の名詞法がさや[#「さや」に傍線](―に)(―か)で、ちる[#「ちる」
前へ 次へ
全63ページ中19ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
折口 信夫 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング