]をそへたおそふ[#「おそふ」に傍線]とかおすふ[#「おすふ」に傍線]とかいふ語の連用体言なのであらう。うもる[#「うもる」に傍線]はうむ[#「うむ」に傍線]といふ終止言にる[#「る」に傍線]がそはつたもの、大阪地方のことばでおぼう[#「う」に白丸傍点][#「おぼう[#「う」に白丸傍点]」に傍線]といふのはうむ[#「うむ」に傍線]にふ[#「ふ」に傍線]がそはつたものとおもはれる。前にいうたくづる[#「くづる」に傍線]、くづす[#「くづす」に傍線]のくづ[#「くづ」に傍線]ははたしてくゆ[#「くゆ」に傍線]とおなじ意味の動詞であつたとすれば、また終止法名詞を証拠だてゝゐるのである。同様にさくむ[#「さくむ」に傍線]の語根はさく[#「さく」に傍線]の終止法名詞であらう。
すぐす、おこす、おこる、はるく、こもる、およぼすも同様にすぐ、おく、はる、こむ、およぶの終止法名詞に種々の接尾語がついたものといふことがあきらかである。
かしつく意のいつく[#「いつく」に傍線]の終止法がし[#「し」に傍線]をよんでいつくし[#「いつくし」に傍線]となり、つゞいてうつくし[#「うつくし」に傍線]に転ずる。おそる[#「おそる」に傍線]の終止法からし[#「し」に傍線]をうけておそろし[#「おそろし」に傍線]となる。さもし[#「さもし」に傍線]といふ語は、今日さむ[#「さむ」に傍線]といふ語は見るによしないが、その連用法名詞とみられるさみ[#「さみ」に傍線]にす[#「す」に傍線]がついたさみす[#「さみす」に傍線]といふ動詞があるのをみれば、そのさむ[#「さむ」に傍線]といふ語の終止法でし[#「し」に傍線]をよんだものにちがひはない。につこ・らしい[#「につこ・らしい」に傍線]といふ語が古い大阪ことばのうちにあつた。これはあほらしいとか、いやらしいとか、きたならしいとかの推量の意ではないらしい[#「らしい」に傍線]がにつく[#「につく」に傍線]といふ終止についたのである。つぐ・なふ[#「つぐ・なふ」に傍線]はつぐ[#「つぐ」に傍線]といふ終止法名詞になふ[#「なふ」に傍線]がついたのではなからうか。ひこ・つら・ふ[#「ひこ・つら・ふ」に傍線]はひく[#「ひく」に傍線]の終止言につらふ[#「つらふ」に傍線]がついたものであらう。かういふ様な意味あひから接尾語として最も多く用ゐられるる[#「る」に
前へ
次へ
全32ページ中20ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
折口 信夫 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング