あれ」に傍線]である。此は昔の人が、生物の様態を見て居て考へたことであつたかも知れない。
うつ[#「うつ」に傍線]・すつ[#「すつ」に傍線]・すだつ[#「すだつ」に傍線]・そだつ[#「そだつ」に傍線]
話が多少複雑になつて来たので、こゝらで単純に戻したいと思ふ。
古い言葉に、此はうつぼ[#「うつぼ」に傍線]にも関係があると思ふが、うつ[#「うつ」に傍線]と言ふ語がある。空・虚、或は全の字をあてる。熟語としては、うつはた[#「うつはた」に傍線](全衣)・うつむろ[#「うつむろ」に傍線](空室)などがある。うつ[#「うつ」に傍線]は全で、完全にものに包まれて居る事らしい。このはなさくや[#「このはなさくや」に傍線]姫のうつむろ[#「うつむろ」に傍線]は、戸なき八尋殿を、更に土もて塗り塞いだとあるから、すつかりものに包まれた、窓のない室の意で、空の室を言つたのではないと思ふ。たゞ其が、空であつた場合もあるのである。
うつ[#「うつ」に傍線]に対してすつ[#「すつ」に傍線]と云ふ語がある。うつ[#「うつ」に傍線]には二通りの活用がある。うて[#「うて」に傍線]・うて[#「うて」に
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