盆踊りの話
折口信夫
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)聖霊会《シヤウリヤウヱ》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「敬/手」、第3水準1−84−92]げて
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)名残り惜しい/\と
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一
盆の祭り(仮りに祭りと言うて置く)は、世間では、死んだ聖霊を迎へて祭るものであると言うて居るが、古代に於て、死霊・生魂に区別がない日本では、盆の祭りは、謂はゞ魂を切り替へる時期であつた。即、生魂・死霊の区別なく取扱うて、魂の入れ替へをしたのであつた。生きた魂を取扱ふ生きみたま[#「生きみたま」に傍線]の祭りと、死霊を扱ふ死にみたま[#「死にみたま」に傍線]の祭りとの二つが、盆の祭りなのだ。
盆は普通、霊魂の游離する時期だと考へられて居るが、これは諾はれない事である。日本人の考へでは、魂を招き寄せる時期と言ふのがほんとうで、人間の体の中へ其魂を入れて、不要なものには、帰つて貰ふ
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