万葉集に現れた古代信仰
――たま[#「たま」に傍点]の問題――
折口信夫

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)粉滷《コガタ》の

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)大洗|磯前《イソザキ》の神

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)たま[#「たま」に傍点]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)まち/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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万葉集に現れた古代信仰といふ題ですが、問題が広過ぎて、とりとめもない話になりさうです。それで極めて狭く限つて、只今はたま[#「たま」に傍点]に関して話してみます。
玉といへば、光りかゞやく美しい装飾具としての、鉱石の類をお考へになるでせう。又、万葉集で「玉何」と修飾の言葉としてついてゐるのは、その美しさを讚美した言葉だ、とお考へになるでせうが、多くの場合、それは昔からの学者の間違ひの伝承です。
我々が、神道の認識を改めねばならない時に当つて、それと関係の深いたま[#「たま」に傍点]についての考察に、一つの別の立場を作るのも、思索上のよい稽古
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