は、語部が叙事詩を語り、其一部分として歌が生じたものと思ふ方が順道らしい。
高級巫女であると同時に、姫神となる資格を齎《もたら》しめる様な教育の役をするのが、後代の女房となつたのだ。だから、語部には、男と女と両方あつたらしい。先輩も、亦私も、語部は女ばかりだと考へてゐたのは、多少の訂正を要する。古代の邑落生活様式の、宮廷に帰一せられて来るのは、普通だが、必しもすべてが同じだとは言へない。やはり、別々の姿を保存してゐた。だが、大体に於いて、さうした為事が、女のものであつたことは争へない。
語部の語原に関聯して、かたる[#「かたる」に傍線]とうたふ[#「うたふ」に傍線]との区別を唯一口申したい。うたふ[#「うたふ」に傍線]は抒情詩、かたる[#「かたる」に傍線]は叙事詩を諷誦することであつた。かたる[#「かたる」に傍線]の再活用かたらふ[#「かたらふ」に傍線]の用語例が、その暗示を与へて居ると思ふ。かたらふ[#「かたらふ」に傍線]は言語によつて、感染させて、同一の感情を抱かせると云ふことである。で、私はかたる[#「かたる」に傍線]・かたり[#「かたり」に傍線]が、古代人の信仰に於いて、魂の風
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