」に傍点]になつてゐる作物を見ると、驚くばかり見劣りがする。彼等の日常の作物と百首歌や歌合せなどに文壇意識を交へての作物とは、非常に心の持ち方に開きのあつた事が訣る。一つは、召し歌や法楽歌や、歌合せが、文壇の生命・傾向を握り過ぎる様になつた為もある。歌の価値定めが、衆議制に拠る傾きは、平安末からのことで、明らかに歌合せの副産式の慣例であつた。
其延長として起つた新古今の選択法などは、明らかに衆議を土台に、其上、後鳥羽院の鑑賞を脇にしてゐる。此は、隠岐本新古今に、はつきり見えてゐる。其外当時の史書・日記類からも知れる。技巧と、冒険とで衆議制に優位を占めようとした、歌人仲間の気風が、見えすいてゐる。
衆議制を経て、喧伝せられたものを採用するのが、文壇意識の出た前期末頃からの傾向で、其が一面、他派の非難を防ぐ楯にもなつた訣だ。此が勅撰集に採られた作物と、習作集とで、値打ちの違つて見える大きな原因であつた。何にしても大体一般に認められた物は、ある点に於て、均整なり、的確なり、普遍なりを備へてゐるはずである。其時代の特殊な病的鑑賞は勿論あるとしても、まづは洗練せられた作物に違ひない。良経の作物の
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