唯一の道だつたのである。自己を虚しうして、歌に当つたらしい人であつたのだ。だから、彼の歌には、安住があり、輝いたあきらめがある。
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千載集えらび侍りける時、古き人々の歌を見て、
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行く末は 我をもしのぶ人やあらむ。昔を思ふ心ならひに(新古今)
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さすがに、野心を蔵した歌も盛んに詠じてゐるが、年よつて、段々静かに、平易に詠み出す様になつて行つた。もつと感激が出ねばならぬ所だ。
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如何に言ひ、いかに弔《ト》はむと 思ふ間に、心もつきて、春も暮れにき(玉葉)
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拘泥することなく、つぶさに述べ尽してゐる。併し情熱は失はれてゐる。近世の僧家の歌人などに多い、自在であつて、併し心の拍子の出ない歌の類である。でも、かうした調子を具体化する為に、短歌史上に類例少い長い生涯を文学の為、又此を通して、仏の為に費して来たのであつた。此等の歌は、当時の口語律に近づいて居た物であらう。彼自ら、自讃歌と推した「夕されば」の境地は、此風に野心を交へた概念歌で、上句の外は採れない。調子づき過ぎて、若々しい
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