年齢に達すると、女は夫を去つて、処女生活に入る信仰があつたが、さういふ様な女(三)。此床退りの女は、其以後の生活は、神に仕へるのである。後世のお室様といふのは、此の事をいふのだ。平安朝には床退りした女は、尼となつて仏事に入り、処女生活をしたのである。
さて女は、五月の田植ゑの済むまでは、男を近づけない。男の方でも女に触れない。此期間は男女共に、袴や裳に標を附けて、会ふ事をしない。此間の事をながめをふる[#「ながめをふる」に傍線]といふのである。一軒の家に同居して居ても、会はない。前の、景行天皇の話の、媛をして、長眼を経しめたまふといふのは、媛にお顔を見せながら、霖雨中放つて置いて、性欲的の苦しみをなさしめたといふ事である。其が固定してながめ[#「ながめ」に傍線]となり、性欲的な憂鬱からして、ぼんやりして居る事を表す語になつたのである。
平安朝になつてからのながめ[#「ながめ」に傍線]は、美しい意味に替つて来て了うたので、根本は、性欲的の憂鬱の状態を言ひ表す語である。
五月の物忌みが雨つゝみ[#「雨つゝみ」に傍線]で、此が天つ罪となるには、すさのをの[#「すさのをの」に傍線]命が元来、田
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