ふり」に傍線]のふり[#「ふり」に傍線]で、国ふりの歌を奉るといふ事は、天子様に其国の魂を差し上げて、天寿を祝福し、合せて服従を誓ふ所以である。
ふり[#「ふり」に傍線]は、※[#「にんべん+舞」、第4水準2−3−4]にもいひ、歌にもいふ。ふり[#「ふり」に傍線]といふと、此二つを意味するのである。歌をうたつて居ると、天子様に、其歌の中の魂がつき、※[#「にんべん+舞」、第4水準2−3−4]を舞つて居ると、其※[#「にんべん+舞」、第4水準2−3−4]の中の魂が、天子様に附着する。諸国の稲の魂を、天子様に附着せしめる時に、※[#「にんべん+舞」、第4水準2−3−4]や歌をやる。すると、其稲の魂が、天子様の御身体に附着する。
此魂ふり[#「ふり」に傍線]の歌を、いつでも天子様に申し上げる。其が宮中に残つたのが、記紀のふり[#「ふり」に傍線]の歌である。今残つて居るのは、短い長歌の形をして居る。国風の歌の出発は、呪詞と同様に、諸国の寿詞中から、分裂して出来たもので、つまり、長い呪言中のえきす[#「えきす」に傍線]の部分である。長い物語即、呪言を唱へずとも、此部分だけ唱へると、効果が同様だ、
前へ
次へ
全91ページ中55ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
折口 信夫 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング