新しい国語教育の方角
折口信夫

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)語部《カタリベ》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)日本書紀|葦牙《アシカビ》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)ませ[#「ませ」に傍点]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)あり/\
−−

     一

私くらゐの若い身で、こんな事を申すのは、大層口はゞつたい様で、気恥しくもなるのですが、記者の方の設問が、私の考へ癖に這入つて来ましたので、遠慮ないところを申しあげます。
私などがまづ、今の世間では、一番正当に国学者の伝統を承けた若者と言はゞ言へる人間なのでせう。私の教室でする講義ぶりや表出などを反省して見ましても、亡くなられた恩師三矢重松先生の俤が、あり/\自分の内に生きてゐるのに驚かれます。其に、私の最若い時分の頭を支配せられた先生は、敷田年治翁の子飼ひのお弟子だつた亀島三千丸と言ふ方でした。
私どもと同時代の若い文学者の方々と比べて、心の上にある自由が失はれてゐることは、私自身にもわかります。其と共
次へ
全12ページ中1ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
折口 信夫 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング