わなさひこ」に傍線]なる社の名である。阿波から来経《キヘ》――移り来て住みつい――た事を言ふのだから。前に述べかけた阿波のわなさおほそ[#「わなさおほそ」に傍線]は、出雲に来経たわなさひこ[#「わなさひこ」に傍線]であり、丹波のわなさ翁[#「わなさ翁」に傍線]・媼[#「媼」に傍線]も、同様みぬま[#「みぬま」に傍線]の信仰と、物語とを撒いて廻つた神部の総名であつたに違ひない。養ひ神を携へあるいたわなさ[#「わなさ」に傍線]の神部は、みぬま[#「みぬま」に傍線]・わなさ[#「わなさ」に傍線]関係の物語の語りてゞもあつた。わなさ[#「わなさ」に傍線]物語の老夫婦の名の、わなさ翁[#「わなさ翁」に傍線]・媼[#「媼」に傍線]ときまるのは、尤である。論理の単純を欲すれば、比沼・奈具の神も、阿波から持ち越されたおほげつひめ[#「おほげつひめ」に傍線]であり、とようかのめ[#「とようかのめ」に傍線]であり、外宮の神だとも言へよう。だが、わなさ[#「わなさ」に傍線]神部の本貫については、まだ/\問題がありさうである。
私は実の処、比沼のうなゐ神[#「比沼のうなゐ神」に傍線]は禊ぎの為の神女であり、其
前へ
次へ
全48ページ中23ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
折口 信夫 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング