主部が縮小して出来た語尾であつて、古くは勿論意味のあつたものなることは考へられる。今の人の考へるよりも、更に複雑だつたのであるが、とにもかくにも終止形は語尾が次第に展開して来る径路を示してゐるものと言うてよい。

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(私は所謂、動詞の活段・活用形に関する用語をそのまゝ使ふには、満足しきれない、別の立ち場に立つてゐるものです。併し、かうした小論文に、一々こむづかしく名目にこだはつた新術語を連ねて、一々その説明をして行かねばならぬと言つた方法をさけさせて頂くことにしました。
其と共に、お断りしておかねばならないのは、あわたゞしいうちの筆記によつたものなので、読み返して見て、其啓蒙式な書き方になつてゐるのに驚きました、この種の物を御覧になる大方諸子に対して礼を失した気がねを感じます。)
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底本:「折口信夫全集 12」中央公論社
   1996(平成8)年3月25日初版発行
初出:「川合教授還暦記念論文集」
   1931(昭和6)年12月
※底本の題名の下に書かれている「昭和六年十二月刊「川合教授還暦記念論文集」」はファイル末の「初出」欄に
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