さかだる[#「さかだる」に傍線]に、かぜぼろし[#「かぜぼろし」に傍線]はかざぼろし[#「かざぼろし」に傍線]に、すげがさ[#「すげがさ」に傍線]はすががさ[#「すががさ」に傍線]に変る。此は単なる音韻変化ではないのであつて、熟語を作る場合の語根の屈折が、自然に機械的に整理せられる様になつて取つて来た規約である。元を突きとめると、熟語を作る時に、先づウ列の形をとるといふことである。
神風は例外なしにかむかぜ[#「かむかぜ」に傍線]と言うて居る。斎はい[#「い」に傍線]とゆ[#「ゆ」に傍線]両音あつて、音価が動揺してゐる様に考へて居たが、此はい[#「い」に傍線]が動かぬ音で、熟語を作る時にゆ[#「ゆ」に傍線]に変るのである。何故かういふ事が起つて来るかと言へば、かうなる一段前の状態を考へると、総ての語根といふものは、終末音が謂はゞウ列音――即、子音に近い為に、一つ揺れるとウ列――になつて来る。従つて、動詞を作つても終止形がウ列音になる。動詞の中一番動かぬものは、この終止形である。語根と語根が繋つて行くと、ウ列の音が出て来るのである。
語根はウ列に近いものであるから、此考へが先づあつて、熟
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