しかける。基調主題、即、頭の位置を定める枕に似た義の考へ出された事が見える。其中から、古くて、単語と言ふより、句の形をとつて居るものと、枕詞序歌をも込めて枕詞と言ふ様になつたらしい。
わりに古い歌枕は、初めは、古書に出た地名・行事の称呼・日常語の雅訳したものなどを言うて居た様である。即、名所・人事・季題の定まる基で、同時に、異名を問題にさせ初めたのである。古語及び意の訣らぬものを、現代の物に推し当てた死語、漢・仏籍の語を直訳したものなどが、段々出る導きをした。さうして、俊頼が民間伝承を入れる因にもなつたのだ。歌の上の文学用語であると共に、歌枕は、本来の用として、歌の風韻を作るものであつた。此が連歌に入り、誹諧に入つて「座」となる。其放散する風韻が、一聯の気分を統一する様になつた。其が誹諧の盛んになるに連れて、季を専らとする風に傾いて行つたのだ。
和歌及び歌学は、一つで、学問と考へられた。創作の才は、学識によつて定まるものと見た。歌枕其他、故事・格式を知らねば作れぬものと考へたからである。俊成以前から遠く兆して居たのだ。頑なに信じ、愚かに伝来を重んずる武家時代では、和歌を作る事は学者とな
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