に立つと共に統一せられて来たかと思ふと、又、部分的の変改が加つて来る、と言つたあり様だ。我先に異色を立てようとするのである。而も、術語の概念の範囲についての争ひなどのなかつたのは、不思議である。唯、幽玄態と言ふ語は、人気があつた。俊成が強調し、新古今歌風の目標になつてゐた。其為、後々歌道師範家・連歌師などが、愈々、語に神秘性を帯びさせて来た。
新古今と、其前後とは各《おのおの》違つてゐる。此時代より後になると、禅宗が渡来して、隠者階級や歌学者に、其方の考へ方を利用する者が出て来た。だから、俊成前後では、思索法からして違つて来てゐる。俊成のは、前にも述べた通り、えん[#「えん」に傍線]な歌、其辞句以外に風姿から生れて来る気分のひそかで微かで、纏綿する様に感ぜられるもの、かう言つた静的のものであるが、新古今になるとえん[#「えん」に傍線]の外に、たけ[#「たけ」に傍線]の高さを加へて来てゐる。
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うちしめり あやめぞかをる。時鳥なくや 五月の雨の夕ぐれ(良経――新古今巻三)
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良経の此歌は千載・新古今の幽玄と艶との岐れ目を示すものであらう。調子
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