地理の説明にも少し骨を折れば、この考えなどは、忽《たちまち》消え失せるものかも知れぬ。が、あまり原由近似なるが故に、試みに記しておく。
私の女主人公|南家《なんけ》藤原|郎女《いらつめ》の、幾度か見た二上山上の幻影は、古人相共に見、又僧都一人の、之を具象せしめた古代の幻想であった。そうして又、仏教以前から、我々祖先の間に持ち伝えられた日の光の凝り成して、更にはなばなと輝き出た姿であったのだ、とも謂《い》われるのである。
底本:「昭和文学全集第4巻」小学館
1989(平成元)年4月1日初版第1刷発行
1994(平成5)年9月10日初版第2刷発行
初出:「八雲 第三輯」
1944(昭和19)年7月
入力:門田裕志
校正:仙酔ゑびす
2007年2月15日作成
青空文庫作成ファイル:
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