、唱詞と、語詞と、三通りあつた。唱詞は、所謂祝詞で、長い語詞の中《ウチ》のものが脱落して、後に残つた、有力な部分が、歌である。唱ふには、したがふ[#「したがふ」に傍線]といふ意味があつて、相手に命令して、自分と同じ動作をさせる事が、其力であつた。徇は、したがふ[#「したがふ」に傍線]と訓むが、となふ[#「となふ」に傍線]とも、訓み伝へられて来てゐる。
以上の三種類のものは皆、声楽的に異つてゐる。唱詞は、声楽的に歌や語詞とも別な要素を持ち、又別の効果を持つてゐた。我々は、延喜式に、祝詞としてある三種類のものを、唱詞といふ言葉で総括して行きたい。
底本:「折口信夫全集 3」中央公論社
1995(平成7)年4月10日初版発行
底本の親本:「『古代研究』第一部 民俗学篇第二」大岡山書店
1930(昭和5)年6月20日
初出:「民俗学 第一巻第一号」
1929(昭和4)年7月
※底本の題名の下に書かれている「信州松本、講演筆記。昭和四年七月「民俗学」第一巻第一号」はファイル末の「初出」「注記」欄に移しました。
※「祝詞と、鎮詞との区別」の図は、底本では、三つの要素(「祝詞」「鎮詞」「記号の説明」)を縦に配置してあります。
入力:門田裕志
校正:仙酔ゑびす
2007年5月2日作成
青空文庫作成ファイル:
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