田居[#「田居」は底本では「田舎」]とやらへおりたちたい――、
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を反覆した。
刀自は、若人を呼び集めて、
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もっと、きれぬ糸を作り出さねば、物はない。
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と言った。女たちの中の一人が、
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それでは、刀自に、何ぞよい御思案が――。
さればの――。
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昔を守ることばかりはいかつい[#「いかつい」に傍点]が、新しいことの考えは唯、尋常《よのつね》の婆の如く、愚かしかった。
ゆくりない声が、郎女の口から洩《も》れた。
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この身の考えることが、出来ることか試して見や。
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うま人を軽侮することを、神への忌みとして居た昔人である。だが、かすかな軽《かる》しめに似た気持ちが、皆の心に動いた。
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夏引きの麻生《おふ》の麻《あさ》を績むように、そして、もっと日ざらしよく、細くこまやかに――。
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郎女は、目に見えぬもののさとし[#「さとし」に傍点]を、心の上で綴って行くように、語を吐いた。
板屋の前には、俄《にわ》かに、蓮の茎が乾し並べられた。そうして其が乾くと、谷の澱《よど》みに持ち下りて浸す。浸しては晒《さら》し、晒しては水に漬《ひ》でた幾日の後、筵《むしろ》の上で槌《つち》の音高く、こもごも、交々《こもごも》と叩き柔らげた。
その勤《いそ》しみを、郎女も時には、端近くいざり出て見て居た。咎《とが》めようとしても、思いつめたような目して、見入って居る姫を見ると、刀自は口を開くことが出来なくなった。
日晒しの茎を、八針《やつはり》に裂き、其を又、幾針にも裂く。郎女の物言わぬまなざしが、じつと若人たちの手もとをまもって居る。果ては、刀自も言い出した。
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私も、績みましょう。
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績みに績み、又績みに績んだ。藕糸《はすいと》のまるがせが、日に日に殖えて、廬堂の中に、次第に高く積まれて行った。
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もう今日は、みな月に入る日じゃの――。
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暦の事を言われて、刀自はぎょっ[#「ぎょっ」に傍点]とした。ほんに、今日こそ、氷室《ひむろ》の朔日《ついたち》じゃ。そう思う下から歯の根のあわぬような悪感を覚
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