へては居るが、生産の守護者をば、時あつては外から臨む者とし、常在する精靈と見ない處から出て居る證據である。田の精靈に祈るよりは、まづまれびと[#「まれびと」に傍線]にねぐ[#「ねぐ」に傍線]ことをしたのである。
一二 まれびと[#「まれびと」に傍線]の遠來と群行の思想
既に話した奈良時代の文獻に見えた三種の新甞の夜の信仰は、田の神に對してゞなく、遠來のまれびと[#「まれびと」に傍線]に對してなることは、明らかである。而も序に引いた武塔神の神話も、再、蘇民《ソミン》將來の家に御子神たちを連れて來られることになつて居る。其二度目のおとづれ[#「おとづれ」に傍線]は、秋であつた。春來たまれびと[#「まれびと」に傍線]の秋再おとづれると考へられることになつたのも、古い事である。まれびと[#「まれびと」に傍線]の來るを機會に、新室のほかひ[#「ほかひ」に傍線]をすることは、刈り上げ後にも行はれたと見える。
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白髮天皇の二年冬十一月、播磨の國司山部[#(ノ)]連の先祖|伊與《イヨ》[#(ノ)]來目部《クメベ》[#(ノ)]小楯《ヲタテ》、赤石郡に於て、自ら新甞の
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