・吉言など書いて居るのは其本義を忘れて、縁起よい詞などゝ言ふに近い内容を持つて來たのであらう。壽詞と書いて居るのは、ほぐ[#「ほぐ」に傍線]の義から宛てたのではなく、長壽を豫祝する「齡言《ヨゴト》」の意味を見せて居るのだ。併し、それよりも更に古くは「穀言《ヨゴト》」の意に感じても居、眞の語原でもあつたらしい。世が「農作の状態」を意味することは、近世にも例がある。古くは穀物をよ[#「よ」に傍線]と言うたのである。即、農産を祝ぐ詞と言ふ考へから出たらしい。



底本:「折口信夫全集 第一卷」中央公論社
   1954(昭和29)年10月1日初版発行
   1965(昭和40)年11月20日新訂版発行
   1972(昭和47)年5月20日新訂再版発行
初出:「日光 第一卷第一號」
   1924(大正13)年4月
入力:野口英司
校正:多羅尾伴内
2005年3月17日作成
青空文庫作成ファイル:
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