。まなあ[#「まなあ」に傍線]の訳語――である。
天皇は、大和の国の君主であるから、大和の国の魂の著いた方が、天皇となつた(三種の神器には、別に、意味がある)。大和の魂は、物部氏のもので、魂を扱ふ方法を、物部の石上の鎮魂術といふ。此一部分が、神道の教派の中に伝つてゐる。此以外に、天皇になる魂即、天皇霊(敏達紀外一个処)がある。
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若《モシ》違[#(ハヾ)][#レ]盟[#(ニ)]者天地[#(ノ)]諸《モロモロ》[#(ノ)]神及[#(ビ)]天皇霊[#(ニカケ)]絶[#二]滅[#(セム)]臣[#(ノ)]種[#(ヲ)][#一]矣(敏達天皇十年閏二月)
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此を平く言ふと、稜威《みいつ》である。神聖な修飾語のやうに考へてゐるが、実は天皇霊で、大嘗祭に、聖躬に著くのである。
悠紀殿・主基殿と分れて建つのは古い事で、天武紀にも見られることである。前述のやうに、此は、初めは一つの御殿だつたに違ひない。其中、一番問題になるのは、御殿の中に、御衾を設けてあることで、神道家の中には、天照大神の御死骸が其中にあるのだ、と言うてゐる人もあるが、何の根拠もない、不謹慎な
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