貴種誕生と産湯の信仰と
折口信夫

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)語《ことば》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)祖先|色鳴《シコメ》宿禰が

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)みあれ[#「みあれ」に傍線]

 [#…]:返り点
 (例)立為[#二]皇太子[#一]。

 [#(…)]:訓点送り仮名
 (例)去来穂別[#(ノ)]天皇[#(ノ)]同母弟也。

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)ミヅ/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
−−

     一

貴人の御出生といふ事について述べる前に、貴人の誕生、即「みあれ」といふ語《ことば》の持つ意味から、先づ考へ直して見たいと思ふ。
私は、まづ今日の宮廷の行事の、固定した以前の形を考へさせて貰はうと思ふ。有職故実の学者たちの標準は、主として、平安朝以来即、儒風・方術の影響を受けた後の様式にある様である。尤、此期に入つて、記録類が殖えて来たからではあるが、私は前期王朝のまだ其々の伝承に、信仰的根拠の記憶せられ尊奉せられてゐた
次へ
全11ページ中1ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
折口 信夫 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング