陽師流の神道家の間に行はれてゐました。続日本紀以降の天子の宣命と、外形は違つてゐて、本質を一つにするものでした。私の考へでは、此宮廷の宣命が、古代ののりと[#「のりと」に傍線]の原形を正しく伝へてゐるものなのです。神の宣命なるのりと[#「のりと」に傍線]を人神の天子ののりと[#「のりと」に傍線]なる宣命としたゞけの事です。常世神ののりと[#「のりと」に傍線]におきましては、神自身及び精霊の来歴・種姓を明らかにして、相互の過去の誓約を新たに想起せしめる事が、主になつてゐました。此精霊服従の誓約の本縁を言ふ物語が、呪詞でもあり、叙事詩でもあつた姿の、最古ののりと[#「のりと」に傍線]なのです。其が岐れて、呪詞の方は、神主ののりと[#「のりと」に傍線]と固定し、叙事詩の側は、語部《カタリベ》の物語となつて行つたのです。だから、呪詞を宣する神の姿をとる者の唱へる文言が、語りをも宣命をも備へてゐる理由はわかります。「家・村ほめ」の方は、呪詞が更に、鎮護詞《イハヒゴト》化した時代に発達したものなのです。広く言へば、ことほぎ[#「ことほぎ」に傍線]と称すべきもので、多くは山人発生以後の職分です。

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