あることは知れる。またす[#「またす」に傍線]は、伝宣せしめるので、神の側の事である。神意を伝宣し、具象せしめにやることである。其が広く遣・使などに当る用語例に拡がつた。
だから、第一義のまつり[#「まつり」に傍線]は、呪詞・詔旨を唱誦する儀式であつたことになる。第二義は、神意を具象する為に、呪詞の意を体して奉仕することである。更に転じては、神意の現実化した事を覆奏する義にもなつた。此意義のものが、古いまつり[#「まつり」に傍線]には多かつた。前の方殊に第二は、まつりごと[#「まつりごと」に傍線]と言ふ側になつて来る。其が偏つて行つて、神の食国《ヲスクニ》のまつりごと[#「まつりごと」に傍線]の完全になつた事を言ふ覆奏《マツリ》が盛んになつた。此は神嘗祭りである。
其以下のまつり[#「まつり」に傍線]は、既に説いて了うた。かうして、春まつり[#「春まつり」に傍線]から冬まつり[#「冬まつり」に傍線]が岐れ、冬まつり[#「冬まつり」に傍線]の前提が秋まつり[#「秋まつり」に傍線]を分岐した。更に、陰陽道が神道を習合しきつて後は、冬祓へ[#「冬祓へ」に傍線]より夏祓へ[#「夏祓へ」に傍線]
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