広く、成女戒に属したものではないかと思ふ。だが、尚考へて見ると、此に先だつて行はれる早処女《サウトメ》定めとしての、卯月の山籠りのあるから思へば、もと/\、その範囲は、成女・成年となるべき人々をつくる、準成年戒授与の時期と見る方が、穏当らしく考へられるのである。
さう謂へば、おなじく「盆」を以て称せられる地蔵盆――又、地蔵祭りとも――の如きも時期は稍遅れて行はれるが、七夕・盂蘭盆に関係の浅くない事を見せてゐる。正式には、七月二十四日、処によつては、月見の頃に及ぶ事さへある。此が祭り主は、女の子である地方も、男の子である処もある様だ。何れにしても、正月の道祖神祭りとの間に、一脈の通じる処はある様である。
我々は、七月を以て踊り月と称してゐる。文月に行はれる種々の踊りの中、少女中心のものゝ多いのは、事実である。七夕の「小町踊り」盆の「をんごく」「ぼんならさん」など、皆ぼんがま[#「ぼんがま」に傍線]の結集を思はせる。一続きの行事である。男の子の道祖神勧進と、根柢において、かはる所はないのである。
三
かう述べて来ると、正月と盆とで、男女の子どもの受け持ちが、違うてゐる様に見え
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