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みつまたの花咲く日
山原を 行きしかな。
山の戸をあけたる娘の
家こそは 小かりしか
もの言はぬ娘の
黒|瞳《メ》の 冴え/″\と小かりしか
みつまたの花咲く道をくだり
うつ/\と 若きはたちを歎きたりけむ
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堀君 四
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村の子を 友として
遊べとぞ 君を思ふ。
さ夜ふけて、枕べに
ほの/″\と 清きくれなゐ――。
げん/\の花茎を
見出でなどして――
君が心 いよ/\たのしくならむ。
村の子を 友として遊ばねど、
たゞ清き生きものなる
村の子は、君が心を知りて
瞻《マモ》るらむ。君が門を――
君がゐる ※[#「片+總のつくり」、第3水準1−87−68]のあかりを――
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山居
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山深き小鳥の声は、
しづかなり――。あまりしづけく
真昼間は 心とよみて、
起きがたく ひとりあらむ
[#ここで字下げ終わり]
私はまづ、堀君に感謝したい。
「愛する」では言ひ足らぬ――、魂の一部分が、そこに預けてあるやうな、親しい大和――其から山城の野山・村
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