[#「からかはれた」に傍点]ものである。もさ[#「もさ」に傍線]はまをす[#「まをす」に傍線]から出た間投詞又は語尾で、単純な田舎の古朴な語とは言へない。ある種の洗煉意識と、一種の言語遊戯観を多く持つた「奴詞《ヤツココトバ》」である。もおす[#「もおす」に傍点](申)の一拗体で、決定感を帯びてゐる為に、も[#「も」に傍点]さ[#「さ」に白丸傍点]と言つて、語尾におかれる事が多い。これが一段素朴で、語尾の決定感を表示することが、柔軟で、丁寧に気分を語らうとする語尾のもおす[#「もおす」に傍点]が、もつと広い地域に渉つて更に音韻の変化した形で示される場合が、なもし[#「なもし」に傍線]・のし[#「のし」に傍線]である。此系統はます[#「ます」に傍線]・もす[#「もす」に傍線]の範囲から離れようとする意識を特に持つてゐるらしくて、なし[#「なし」に傍線]・なんし[#「なんし」に傍線]・のんし[#「のんし」に傍線]・なも[#「なも」に傍線]などと、音韻が特殊化してゐる。かう言ふ考へ方は、先生の方法を、間違へて流用させて頂いてゐなければ、幸である。
併しいづれにしても、まをす[#「まをす」に傍線
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