ば」に傍点]の生態は、時代としては直に、鈔物の時代に接してゐる。だが、こゝには、限度を考へてかゝる必要がある。
さかい[#「さかい」に傍線]の歴史を、無限に近く延長することになる虞れがある。其は、標準語から落伍した、単に一つの長い流行語に過ぎない。其からして、日本語の歴史の窺はれるやうな、大げさなとり扱ひはしたくないものである。此が、この方言の中に育つた者の、辛うじて持ちこたへてゐる、せい一ぱいの良識である。



底本:「折口信夫全集 12」中央公論社
   1996(平成8)年3月25日初版発行
初出:「言語民俗論叢」
   1953(昭和28)年5月
※底本の題名の下に書かれている「昭和二十八年五月刊、金田一博士古稀記念「言語民俗論叢」」はファイル末の「初出」欄に移しました
入力:門田裕志
校正:仙酔ゑびす
2009年4月11日作成
青空文庫作成ファイル:
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