郷へ還り、それより借金を払い営業して全盛した。数年の後、その人われかの金皿の持ち主を訪いその値を償うべしとて、その代金および相応な礼物を持って彼処《かしこ》に趣き、かの邸を尋ぬればこれはしたり、旧時王謝堂前の燕、飛んで尋常百姓の家に入るで、金の皿で犬に食わせた豪家は跡方もなく、ただ烏が、崩れて列を成した古壁に鳴くばかりだった。こんな所に長居は無用と立ち帰ると、たちまち路傍に窶《やつ》れ果てた貧相な男を見付け、時移り運変ってこの邸の主公はどうなった、かの人の威容今|何処《いずこ》にありや、何でかくまで宏壮だった家が壁ばかり残すに及んだかと問うと、われこそここの主人だった者なれ、かつては金屋《きんおく》に住んで麗姫に囲まれた身も運傾けばこんな身になった。我を見るに付けても使徒が上帝この世界のある物を倒さずに他を起さずと説ける道理を明らめ省みよと言った。そこで昔かの邸で金皿を窃《ぬす》みそれより身代を持ち返した仔細を告げ、代金と礼物を納められよと勧めたが取り合わず。汝は実に狂人だ。犬がどうして人に金の皿を餽《おく》るものか、犬が人に遣った物の代金を我が受けらりょうか、いかに貧すれば鈍するとて
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