ある鶏は夜の初更《しょこう》に鳴くきりでその他一度も鳴かぬ。故に一夜に二回また一回鳴き、夜中には鳴く事なし、さて、西インドの最も多くの鶏は日出の一時半か二時前に唱うと。それから北アフリカや西伊仏国の猫は二月初半に喚き歩いて妻を呼ぶが、西インドへ輸入するとたちまち風変りとなって鳴き噪《さわ》がず、その代りにいつ盛るという定めもなく年中唖でやり通しで、林中に食物多き故、野生となって大いに蕃殖《はんしょく》す。鶏が時を違え猫がやり通しにし散らすも気候の影響だろうと論じ居る。自分不案内の事ながら自分や知人どもが知り得た所に拠ると、どうも日本の鶏が雑種多くなるに伴《つ》れて鳴く時が一定せぬようになったと惟《おも》う。その理由を研究して多少明らめ得た所があれど今は述べず、読者諸君にも研究を勧め置く。南米のある地方へ鶏を移した時、どうも蕃殖せなんだが、この頃は蕃殖すると聞く。そのごとく外国種の鶏も追々土著しおわるに従って鳴く時も一定するはずかとも考える。
時計のない世に鶏を殊に尊んだは、諸社にこれを放ち飼いにし、あるいは神鳥としてその肉を食わなんだで知れる。インドでも鶏肉を忌むが、多く堂の側に半野
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