設け、憂え諫むる人をして表を匱に納《い》れしめ、それでも聴き採られざる時は憂訴の人、鐘を撞《つ》くべしと詔あり。その文を見ると、『管子』に見えた禹|建鼓《けんこ》を朝に立て、訊望に備えたを倣《なろ》うたらしい。久米博士の『日本古代史』八四一頁に、この鐘匱《しょうき》は新令実施が良民資産に直接の関係あるを以て、国司等の専断収賂あるを慮《おもんぱか》りこれを察知せんため一時権宜に設けられたるなり、古書の諫鼓、誹謗木など形式的の物と看做《みな》すは大なる誤解なりとあれど、古支那の諫鼓、撃鐘が冤を訴うるに実用あったは、当時支那に遊んで目撃した外人の留書《とめがき》で判る事上述のごとく、決して形式的でなかった。

     概説

 鶏、和名カケ、またクダカケ、これは百済鶏《くだらかけ》の略でもと百済より渡った故の名か。かかる類《たぐ》い高麗錦《こまにしき》、新羅斧《しらぎおの》など『万葉集』中いと多し(『北辺随筆』)、カケは催馬楽《さいばら》の酒殿の歌、にわとりはかけろと鳴きぬなりとあるカケロの略で(『円珠庵雑記』)、梵語でクックタ(牝鶏はクックチー)、マラガシーでコホ、新ジォールジァ等でココ
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