の空白部に口が四つ」、第3水準1−94−55]を食いて、少しも害なかったと述ぶ。これはコッカトリセと※[#「魚+王の中の空白部に口が四つ」、第3水準1−94−55]を混じたようだが、本《もと》コッカトリセなる語はクロコジル(※[#「魚+王の中の空白部に口が四つ」、第3水準1−94−55])と同源より生じ、後コク(雄鶏)と音近きより混じて、雄鶏の卵より生まるる怪物とされたのだから(ウェブストルの大字書、コッカトリセの条)、シュミットの見解かえって正し、熊楠由って惟《おも》うに、バシリスクが自分の影を見て死する語《ものがたり》は、※[#「魚+王の中の空白部に口が四つ」、第3水準1−94−55]の顔至って醜きより生じたのであろう。ジェームス・ローの『回教伝説』に、帝釈《たいしゃく》の天宮に住む天人、名はノルテオクが天帝の園に花を採る若い天女に非望を懐《いだ》いた罰として、天帝を拝みに来る諸天神の足を浄める役にされたが、追々諸神の気に入ってついに誰でも指さして殺す力を得た。それからちゅうものは、少しく癪《しゃく》に触《さわ》る者あればすなわち指さして殺すので、天帝すこぶる逆鱗あり、ヴィシュニュ
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