が差《ちが》うのだ)。春分を以て交わる、牝《め》牡《お》とも二歳で能《よ》く交われど、二歳以上で交わる方強い駒を産む、牡は三十三歳まで生殖力あり、かつて四十まで種馬役を勤めた馬あったが、老いては人に助けられて前体を起した。けだし馬ほど生殖力の限られた動物|罕《まれ》なり、故に時を定めてのみ遊牝せしむ云々。熊楠いわく、米国インジアンまたこの類で、他の諸民族に比し、交会の数甚だ少なしとしばしば聞く。プリニウスいわく、馬は年に十五度も遊牝しあたわずと。熊楠いう、十五度は多過ぎる、前に春分を以て交わるといったでないか、日本でもその通りと見え、内田邦彦氏の『南総俚俗』に、世の始めに諸動物神前に集まり性交について聞く、神、誰は年に一期、彼は年に二期と定むると、皆|畏《かしこ》みて去った。次に馬神前に進む、神、汝は年にただ一期と言いもあえず馬怒りて神の面を蹴る、次に人、神前に出ると、神、馬に蹴られてうるさく思い、汝ら思うままに行えと言って奥に隠れた、爾来人間のみは、時を選ばず無定数に行うとある。
プまたいわく、牝馬は四十歳まで年々駒を産み得るも、※[#「髟/宗」、第4水準2−93−22]《たてがみ
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