んぎん》するようだった。アラブ人馬掛けて誓う事|希《まれ》だが、もし馬掛けて誓えば命を亡うまでも約を違《たが》えず。予ベダイ輩を護身卒に傭《やと》うに、ただ牝馬を援《ひ》いて誓わしめたが、いかな場合にも誠を尽し、親切に勤めた。貴種の馬は今甚だ少なくなる。その父母共に貴種ならずば承知せぬ風ゆえ、部族の酋長か高名の人の証明を要し、かかる証書と系図と守札を容れた嚢《ふくろ》を馬とともに売買し、その頸に掛くる。
アラブの馬は、皆去勢せねど性悪しきもの少なく、また耳も尾も截《き》らず、臨終|際《ぎわ》までも活溌猛勢だ。牡馬よりも牝馬が好かるる訳は、駒を産んで利得多いからよりは、牝馬は嘶《いなな》かず、夜襲などの節敵に覚られぬからだ。アラブ馬のもっとも讃《ほ》むべき特性は、その動作の靱《しな》やかな点で、他にこれよりも美麗駿速な馬種なきにあらざるも、かくまで優雅|軽捷《けいしょう》画のごとく動く馬なし。十また十二歩離れた壁を跳び越え、騎手の意のままに諸方に廻り駈け、見物人の称讃を求むるようだ――熊楠いう、『千一夜譚』第四七夜に、女子九フィートの溝《みぞ》を跳び越ゆるを追う王子の馬跳び越え能わぬ事
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