て、大蛇に乗りて崖頂に登り、それから昇天したその大蛇が、足を遺したと触れ散らしたのであるまいか。昇天するだけの力を持った大仙が、崖頂まで大蛇の仲継を憑《たの》まにゃならぬとは不似合な話だが、呉の劉綱その妻|樊《はん》氏とともに仙となり、大蘭山上の巨木に登り鋳掛屋《いかけや》風の夫婦|連《づれ》で飛昇したなどその例多し。蜻※[#「虫+廷」、第4水準2−87−52]《とんぼ》や蝉《せみ》が化し飛ぶに必ず草木を攀《よ》じ、蝙蝠《こうもり》は地面から直《じか》に舞い上り能わぬから推して、仙人も足掛かりなしに飛び得ないと想うたのだ。既に論じたごとく、実際蟒蛇には二足の痕跡を存するから張衡の偽言も拠《よりどころ》あり。
 イタリアのグベルナチス伯説に、露国の古話に蛇精が新米寡婦方へその亡夫に化けて来て毎夜|伴《とも》に食い、同棲して、晨《あさ》に達し、その寡婦火の前の蝋《ろう》のごとく痩《や》せ溶け行く、その母これに教えて、他《かれ》と同食の際わざと匕《さじ》を堕《おと》し、拾うため俯《うつむ》いて他《かれ》の足を見せしむると、足がなくてニョッキリ尾ばかりあったので、蛇精が化けたと判り、寡婦寺に詣
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