奴は、飛行自在という信念が東半球にのみ限らぬと判る。上に述べた飛竜ちゅう蜥蜴を、翼ある蛇と訛伝したのは別として※[#「縢」の「糸」に代えて「虫」、275−9]蛇《とうだ》足なくして飛ぶなどいうたは、件《くだん》の羽を被った蛇同様、ただ蛇を霊物視する余り生じた想像に過ぎじと確信しいたところ、数年前オランダ(?)の学者が、ジャワかボルネオかセレベスで、樹の間に棲む一種の蛇の躯が妙に風を含むようになりおり、枝より滑り落ちる際|※[#「鼬」の「由」に代えて「吾」、第4水準2−94−68]鼠《むささび》や飛竜同然、斜めに寛々と地上へ下り著《つ》くを見て、古来飛蛇の話も所拠《よりどころ》ありと悟ったという事を、『ネーチュール』誌で読んだ。
 このついでに言う、蛇を身の讎《かたき》とする蛙の中にも、飛蛙《フライイング・フログ》というのがある。往年ワラスが、ボルネオで発見せるところで、氏の『巫来《マレー》群島篇』に図せるごとく、その四足に非常に大きな蹼《みずかき》あり、蹼はもと水を游《およ》ぐための器だが、この蛙はそれを拡げて、樹から飛降を便《たす》くという(第二図[#図省略])。予往年大英博物館で、
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