名を挙げ得ぬ。しかしパーシー人からも親しく聴いた事だ。方相の四目もそんな理由で、いわば二つでさえ怖ろしい金の眼を二倍持つから、鬼が極めて方相におじるのだ。方相が十二神を従えて疫を逐う状は、『日本百科大辞典』の挿画で見るべし。しかるに後世方相の形が至ってにくさげなるより、方相を疫鬼と間違えたとみえ、安政またはその前に出た『三世相大雑書』などに、官人が弓矢もて方相を逐う体を図したのをしばしばみた。只今拙宅の長屋にすむ人もそんな本を一部もちおるが、題号|失《う》せたれば書名を知りがたい。惟《おも》うにデンニス氏が記せるところも、最初方相四眼もて悪鬼を睨みおどした事が、件《くだん》の『大雑書』の誤図と等しく、いつの間にか謬伝されて、方相四眼もて人に邪視を加うると信ぜられ、妊婦やその夫や胎児も、他の理由から人に忌まるるに乗じて、かようの夫婦や胎児までも四眼ありて、邪視を人に及ぼすと言わるるに及んだものか。[#地から2字上げ](昭和四年一〇月、『民俗学』一ノ四)

    (付) 邪視という語が早く用いられた一例

 余り寒いので何を志すとなく、明の陳仁錫の『潜確居類書』一〇七をそこここ見ておると
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