って多少附会した所もあろうといえば、その基づく所は釈尊の従弟で、天眼第一たりし阿那律《あなりつ》尊者の伝だろう。この尊者については、近出の『仏教大辞彙』などに見える珍譚|甚《いと》多い。例せば阿那律すでに阿羅漢となって、顔容美しきを見て女と思い、犯さんとしてその男たるを知り、自らその身を見れば女となりおり、愧じて深山に隠れ数年帰らず。阿那律その妻子の歎くを憐《あわれ》み、その者を尋ねて悔過せしめ、男子となり復《もど》って家内に遇わしめた(『経律異相』十三)。『四分律』十三に、毘舎離の女他国へ嫁して姑と諍《いさか》い本国へ還るに、阿那律と同行せしを、夫追い及んで詰《なじ》ると、〈婦いわく我この尊者とともに行く、兄弟相逐うごとし他の過悪なし〉と、夫怒りて阿を打ってほとんど死せしめたと出るが、阿は高の知れた人間の女に、心を動かすような弱い聖《ひじり》でなく、かつて林下に住みし時、前生に天にあって妻とした天女降って、天上の楽を説くに対し、〈諸《もろもろ》の天に生まれ楽しむ者、一切苦しまざるなし、天女汝まさに知るべし、我生死を尽くすを〉と喝破《かっぱ》したは、南方先生若い盛りに黒奴《くろんぼ》女
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