したインドのコブラ・デ・カペロ(帽蛇《ぼうじゃ》)に酷《よく》似るが喉後の眼鏡様の紋なし。インドで帽蛇を神視しまた蛇|遣《つか》いが種々戯弄して観《み》せるごとく古エジプトで神視され今も見世物に使わる物である。帽蛇は今も梵名ナーガで専ら通りおり、那伽《ナーガ》は漢訳仏典の竜なる由は既述竜の話で繰り返し述べた。また仏教に摩※[#「目+侯」、第3水準1−88−88]羅伽《まほらか》てふ一部の下等神ありて天、竜、夜叉、乾闥婆《けんだつば》、阿修羅、金翅鳥《がるら》、緊那羅《きんなら》の最後に列《なら》んで八部を成す。いずれも働きは人より優《まし》だが人ほど前途成道の望みないだけが劣るという。この摩※[#「目+侯」、第3水準1−88−88]羅伽は蟒神には大腹《たいふく》と訳し地竜にして腹行すと羅什《らじゅう》は言った。竜衆《ナーガ》すなわち帽蛇は毎度頭を高く立て歩くに蟒神衆は長く身を引いて行くのでこれは※[#「虫+冉」、229−2]蛇《ピゾン》を神とするから出たのだ。

     産地

 ニューゼーランドハワイアゾールス等諸島や南北|冱寒《ごかん》の地は蛇を産せぬ。ギリシア海に小島多く相近き
前へ 次へ
全137ページ中12ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
南方 熊楠 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング