去ればすなわちこれ蛇形なりと〉、『十誦律』に、〈仏舎衛国にあり、爾時《そのとき》竜子仏法を信楽す、来りて祇※[#「さんずい+亘」、第3水準1−86−69]《ぎおん》に入る、聴法のため故なり、比丘あり、縄を以て咽に繋ぎ、無人処に棄つ、時に竜子母に向かいて啼泣す〉、母大いに瞋《いか》り仏に告ぐ、仏言う今より蛇を※[#「罘」の「不」に代えて「絹のつくり」、179−2]《あみ》する者は突吉羅罪《ときらざい》とす、器に盛り遠く無人処に著《お》くべしと。いずれも蛇を竜の幼稚なものとしたので、出雲|佐田社《さだのやしろ》へ十月初卯日ごとに竜宮から竜子を献《たてまつ》るというも、実は海蛇だ。『折焚柴記《おりたくしばのき》』に見えた霊山《りょうぜん》の蛇など、蛇が竜となって天上した談は極めて多い(蛇が竜に化するまでの年数の事、ハクストハウセンの『トランスカウカシア』に出《い》づ)。
 故にフィリップやクックが竜は蛇ばかりから生じたように説いたは大分粗漏ありて、実は諸国に多く実在する蜥蜴群が蛇に似て足あるなり、これを蛇より出て蛇に優《まさ》れる者とし、あるいは蜥蜴や※[#「魚+王の中の空白部に口が四つ」、
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