王趙|方《かた》へ一僧来り食を乞い、食|訖《おわ》って仮寝《うたたね》する鼾声夥しきを訝《いぶか》り、王出て見れば竜睡りいた。寤《さ》めてまた僧となり、袈裟一枚大の地を求むるので承知すると、袈裟を舒《の》ばせば格別大きくなる。かくて広い地面を得て、大工を招き大きな家を立てると、陥って池となり、竜その中に住む。御礼に接骨方《ほねつぎのほう》を王氏に伝え、今も成都で雨乞いに必ず王氏の子孫をして池に行き乞わしむれば、きっと雨ふるとある。これは、『阿育《アソカ》王伝』の摩田提《マジアンチカ》尊者が大竜より、自分一人坐るべき地を乞い得て、その身を国中に満たして※[#「よんがしら/(厂+(炎+りっとう))」、第4水準2−84−80]賓国《けいひんこく》を乗っ取った話(『民俗』二年一報、予の「話俗随筆」に類話多く出《い》づ)、また柳田君の『山島民譚集』に蒐《あつ》めた、河童《かっぱ》が接骨方を伝えた諸説の原話らしい、『幽明録』の河伯女《かはくのむすめ》が夫とせし人に薬方三巻を授けた話などを取り雑《ま》ぜた作と見ゆ。とにかくかようの譚は、瓔珞蛇《ダボヤ》など好んで睡る爬虫に基づいたであろう。熱帯地で極
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