ので、まず五百金銭を与えて歓を得、戯れ済んでまた五百金銭を渡せば如何《いかん》といい、婬女承諾して五百銭を受け、汝ら先往きて待ちおれ、我|※[#「靜」の「爭」に代えて「見」、第3水準1−93−75]飾《みじまい》して後より行こうという。衆去りて後婬女われかく多勢を相手に戯れては命が続かぬ、何とか脱《のが》れようをと案じて、かつて相《あい》識《し》った王舅に憑《たの》みて救済を乞わんと決心し、婢をして告げしめしは、かくかくの次第で、妾|迂闊《うかつ》の難題を承諾したが、何が何でも五百人は一身で引き受けがたい、さりとて破談にせば倍にして金を返さにゃならず、何とか銭も返さず身をも損ぜぬよう計らいくだされたいと頼むと、平常|悪《にく》からぬ女のこと故、王の力を仮りて女を出さず五百銭をも戻さずに、五百人を巻いてしまわせた。爾時《そのとき》辟支仏《へきしぶつ》あって城下に来りしを、かの五百|牧牛人《うしかい》供養発願して、その善根を以てたとい彼女身死するとも残金五百銭を与えて、約のごとく彼と交通せんと願懸《がんかけ》した。その業力《ごうりき》で以来五百生の内、常に五百金銭を与えて、彼女と非法を行う
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