神など唱え、殺すを忌む者多し。
『外国事』にいう、毘呵羅《ひから》寺に神竜ありて、倉中に往来す、奴米を取る時、竜|却後《ひっこ》む、奴もし長く取れば竜与えず、倉中米尽くれば、奴竜に向い拝すると、倉|即《やがて》盈溢《みちあふ》る(『淵鑑類函』四三七)。『高僧伝』三に、〈迦施《かし》国白耳竜あり、毎《つね》に衆僧と約し、国内豊熟せしむ、皆信効あり、沙門ために竜舎を起す、並びに福食を設け、毎に夏坐《げざ》の訖《おわ》るに至り、竜すなわち化して一少蛇と作《な》る、両耳ことごとく白し、衆|咸《みな》これ竜と識《し》る、銅盂《どうう》を以て酪を盛る、竜を中に置き、上座より下に至りてこれを行くこと遍し、すなわち化し去る、年すなわち一たび出づ、法顕また親しく見る〉。
ある蛇どもが乳を嗜む事は、一九〇七年版、フレザーの『アドニス篇』に載せて、蛇を人間の祖先と見立てた蛮人が、祖先再生までの間これを嬰児《みどりご》同様に乳育するに及んだのだろうとあるを、予実例を挙げて、蛇が乳を嗜むもの多きより、これを崇拝する者乳を与うるのだと駁《ばく》し置いた(一九〇九年『ノーツ・エンド・キーリス』十輯十一巻、一五七―
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