十二支考
田原藤太竜宮入りの話
南方熊楠
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)馬琴《ばきん》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)官軍|三井寺《みいでら》攻め
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「虫+玄」、124−12]《むかで》なり
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)今や/\とぞ
−−
話の本文
この話は予の知るところでは、『太平記』十五巻に出たのが最も古い完全な物らしい、馬琴《ばきん》の『昔語質屋庫《むかしがたりしちやのくら》』二に、ある書にいわくと冒頭して引いた文も多分それから抄出したと見える。その『太平記』の文は次のごとし。いわく、
(延元元年正月、官軍|三井寺《みいでら》攻めに)
前々《せんぜん》炎上の時は、寺門の衆徒、これを一大事にして隠しける九乳《きゆうにゆう》の鳧鐘《ふしよう》も、取る人なければ、空しく焼けて地に落ちたり、この鐘と申すは、昔竜宮城より伝はりたる
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