撃ナ汚して紅色にしたと、しかればスペンサーも「薔薇の花その古は白かりき、神の血に染み紅く咲くてふ」とやらかした、回教徒伝うらく回祖《マホ<bト》天に登る際額の汗|堕《お》ちて白薔薇、他の所より落した汗が黄薔薇となったと、また古ギリシア人伝えたはヘーラ睡れる間その夫ゼウス幼児ヘラクレス(ゼウス神、チーリンスの王アムフィトリオーンが軍《いくさ》に往った不在に乗じかの王に化けその後アルクメーネーに通じ生むところ、故にヘラクレス人間《じんかん》に住んだうち常にヘーラに苦しめらる)をしてヘーラの乳を吮《す》い不死の神力を禀《う》けしめた、ところが吮う力余り強かったので乳出過ぎて口外に落ち百合となったとも銀河となったともいう、その百合の花非常に白きを嫉んでヴェヌス女神海波の白沫より出現し極浄無垢の花の真中に驢《うさぎうま》の陽根《いちもつ》そのままな雌蕊《めしべ》一本真木柱太しく生《はや》した、しかしその無類潔白な色を愛《め》で貞女神ヘーラまたジュノンおよびスベスの手にこの花を持つ、それと同時に件《くだん》の陰相に因んで好色女神ヴェヌスと婬鬼サチレスもこの花を持つ(グベルナチス、巻二)。ここに言え
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