ャiカ婿を定めんとて諸王子を招き競技せしめた時、ラマ強弓を彎《ひ》いたので王の娘シタがこれを夫と撰定したとある、仏悉達太子と言った時瞿多弥釈女が自撰の場へ行くと、釈女五百の釈種童子を嫌うて太子を撰んで夫とした、仏最初得道の時優陀夷その因縁を問いしに仏答えていわく、昔雪山下に雑類無量無辺の諸獣ありて馳遊す、かの獣中に一つの牝虎あり端正無双諸獣中に比類するものなし、諸獣その夫たらんと望む、相いいて曰く汝ら且《しばら》く待て共に相争うなかれ、かの牝虎の自選を聴《ゆる》せと、時に一牛王あり牝虎に向いて偈《げ》を説く、〈世人皆我の糞を取り持ち用いて地に塗りて清浄と為す、この故に端正なること※[#「※」は「うし+孛」、読みは「うし」もしくは「めうし」、40−2]虎に賢《まさ》れり、まさに我を取りて以て夫と為すべし〉、牝虎答うらく〈汝項斛領甚だ高大、ただ車を駕しおよび犁《すき》を挽くに堪えたり、いかんぞこの醜き身形をもてたちまち我がために夫主とならんと欲するや〉、また一大白象あり牝虎に向いて偈を説く、〈我はこれ雪山の大象王なり、戦闘我を用いて勝たざるなし、我既にこの大威力あり、汝今何ぞ我が妻とならざ
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