M用は優《まさ》り、よく主人に仕え、殊にその子を守るを好む。珍な事はこの者に時という観念全くなしとの事だ。(完)
(付) 虎が人に方術を教えた事
『日本紀』二四に、皇極《こうぎょく》天皇四年四月、〈高麗《こま》の学僧ら言《もう》さく、「同学|鞍作得志《くらつくりのとくし》、虎を以《も》て友として、その術《ばけ》を学び取れり。あるいは枯山《からやま》をして変えて青山にす。あるいは黄なる地《つち》をして変えて白き水にす。種々《くさぐさ》の奇《あや》しき術、殫《つく》して究むべからず(『扶桑略記《ふそうりゃっき》』四には多以究習とす)。また、虎、その針を授けて曰く、慎矣慎矣《ゆめゆめ》、人をして知らしむることなかれ。ここを以て治めば、病《やまい》愈えずということなし、という。果して言うところのごとくに、治めて差《い》えずということなし。得志、恒《つね》にその針を以て柱の中《うち》に隠し置けり。後に、虎、その柱を折《わ》りて、針を取りて走去《に》げぬ。高麗国《こまのくに》、得志が帰らんと欲《おも》う意《こころ》を知りて、毒《あしきもの》を与えて殺す」と〉。似た譚が支那にもある。い
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